債務整理をきっかけとして、家計の改善につなげることが大切です

債務整理の目的

債務整理の目的は、借金をなくすことではありません。もちろん、借金を減らしたりなくしたりすることも重要ですが、それよりも大切なのは、今後は二度と多重債務のような状態にならないよう、家計を改善することです。

借金の原因が、リストラにあって生活費を借り入れることになったとか、突然の病気とか、本人の努力ではどうしようもないようなことである場合ももちろんあります。しかし、家計の状態を把握せずに保険に入りすぎていたり、お酒やタバコのような嗜好品にお金を使いすぎていたりというような、家計に改善の余地がある場合が非常に多いのです。

このような場合に、借金の原因についてよく考えることなく、自己破産をしてしまったりすると、また同じように借金を繰り返すようなことになります。

よく、何度も親族の借金を代わりに支払ってあげているような人がいます。これは、借金を代わりにはらってもらうことにより、簡単に借金問題が解決したため、借金の原因について考えたり反省することがないために、同じことを繰り返してしまうのだと思います。

そういう意味で、「個人民事再生」という債務整理の方法はすぐれた方法です。個人民事再生は、借金を圧縮して、計画的に分割払いをする方法です。借金の全額は免責にならず、最低でも100万円は返済をしなければならないため、毎月約3万円を支払うことになります。

毎月一定の金額を残すという習慣がつくことにより、借金を繰り返す可能性は低くなります。

このように、債務整理は家計の改善のきっかけとすることが大切です。借金をなくすことだけを目的として債務整理をすれば、また同じような事を繰り返してしまう恐れがあります。

弁護士や司法書士などの専門家の一部には、過払い金の回収だけを行い、他の借り入れには介入しないというところがあります。もし、他の借り入れが返済できず、自己破産などの手続きが必要になり、依頼しようとしても、「うちは自己破産の手続きはやりませんので・・」などといって他の専門家のところに行くように促します。

このような専門家は、家計を立て直すなどということには関心がなく、過払い金を回収することにより自分がお金を儲けることにのみ関心があるようです。特に、全国から相談を受けますなどという専門家には、注意が必要です。自己破産、個人再生のような手続きは非常に手間がかかり、全国から受託できるような性質のものではありません。